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大阪人はおもしろくないといけない

大阪人はおもしろくないといけない。そのような風潮が大阪だけではなく、全国に熱病のように蔓延しているのです。正直、由々しき事態です。非常事態宣言を出さねばならないほどの状況ではないのでしょうか。

そもそも「大阪人」という括りがわけがわかりません。大阪に住んでいる人を指すのか、大阪で生まれた女*1を指すのか、 雑誌「大阪人」*2の愛読者を指すのか、そもそも大阪人という人種が別に存在するのか、全くもって謎なのです。

もしかしたら、大阪人というおもしろい人種が存在して、こっそり大阪に住んでいるのかもしれません。だとすると、見た目では大阪人と、大阪人ではない大阪在住の人の区別がつかないため、大阪に住む人は総じておもしろいと思われてしまい、大阪人ではない大阪在住の人がツラい思いをするという事実も頷けます。大阪人はおもしろい、でもほとんどの大阪在住の人は実は大阪人ではない、事実がこのようなことだとすると、納得がいくのです。

困るのが、大阪在住の人が自分は大阪人であると思い込んでしまい、盛大に勘違いしてしまうことです。おもしろいのは大阪人であって、ごくありふれた大阪在住の人ではありません。大阪人はごく一握りの精鋭で、ほぼ全員が松竹芸能に所属しています。その事実を知らずに、勘違いくんが「俺は大阪生まれの大阪人やからおもしろいんや!」と図に乗ってしまい、吉本興業の門を叩こうとするのです。まず、その選択が間違っているのです。猛省を促したい。

そもそも、大阪人はがめついなどというのも、間違った印象です。おそらく、大阪商人のイメージがそのまま大阪人のイメージになってしまったのだと思いますが、がめついのは近江商人で、その近江商人にいいようにされていたのが大阪商人です。偶然商家に産まれて後を継いでしまった鼻垂れのぼんくらさんが大阪商人です。一方、一部の意識高い系の方にはバイブルみたいになっている映画「てんびんの詩」で描かれている近江商人の姿たるや、根性の入った物売りの姿です。鍋ぶたを売る行商の旅に出される子どもの話なのですが、ガチでヤバいです。大阪商人が何人束になっても勝てる相手ではありません。で、どこでどう間違ったのか、今はそのガチでヤバい近江商人がイコール大阪商人になっているのです。間違い過ぎにも程があります。

話がどっかに行ってしまったので戻しますが、大阪人がおもしろいのは事実かもしれませんが、大阪在住の人がおもしろいかどうかは別問題です。というより、ほとんどの大阪在住の人はおもしろくもなんともありません。「何かギャグでもやらんかい!」と言われて「じゃあ鉄板ネタをひとつ……」なんてできる人など、そうそういません。ほとんどの人がその場が絶対零度になる寒いダジャレ一発言えるかどうかの瀬戸際です。

大阪人はおもしろくないといけないなどと、間違ってもそんな先入観を持たないでください。その先入観で、大阪在住の人はみんなツラい思いをしているのです。合掌。

*1:ご存知、BOROの歌う大阪の歌です。

*2:大阪市都市工学情報センターがかつて発行していた月刊誌。2012年4月2日発行の5月号増刊「古地図で歴史をあるく」をもって休刊となった。