ぐわぐわ団

ぐわぐわしたり、もんにょりしたり

「ぬ」が悪い

「ぬ」が許せない。

「め」が可哀想なんです。最後をくるっと回すだけで別の文字だと言われて「はい……そうですか……わかりました……」と引き下がっている「め」が不憫でならないのです。

「め」をロングの黒髪の清楚なお嬢さんだとしましょう。物静かで、おとなしい性格の「め」は、結婚を目前にした許嫁がいて、順風満帆な人生を歩んでいたのですが、そんな「め」の目の前に突如現れた、ポニーテールの双子の姉「ぬ」。許嫁を強奪し、「め」の全てを奪おうとする「ぬ」の行為はエスカレートするばかり。そんな時、「メ」が現れるのです。「め」を今までずっと支えてきた幼馴染。しかし、そんな「メ」にも横棒を一本足した双子の兄「ヌ」が立ちふさがるのです。さあ、「め」と「メ」の運命やいかに!

さあ、なにがなんだかさっぱりわからなくなったでしょう。煙に巻かれるというのはこういうことを言うのです。書いている当の本人も途中から完全に御筆先でなすがままですから。

「め」と「ぬ」はそっくりなんです。それは事実です。でも「めだまやき」を「ぬだまやき」にしたら、イヤさ加減が2割増しされます。「めしつかい」を「ぬしつかい」にしたら、怪しさ加減が2割増しされます。「君にめろめろ」なんて気持ちの悪い告白も、「君にぬろぬろ」にした途端に、ドロドロしたものが2割増しされます。つまり、「め」→「ぬ」により、何かが2割増えるのです。

一方、「いぬ」を「いめ」にしたところで、さっぱりするだけです。「たぬき」を「ためき」にしたところで、やっぱりさっぱりするだけです。「さあ、ぬぎなさい」というおっさんくさいエロ言葉も「め」にした途端「さあ、めぎなさい」となってしまって、さっぱりするのです。「ぬ」→「め」にすれば、さっぱりするのです。

これらの事例から導き出される結果は「ぬ」が悪いということです。「め」はちっとも悪くない。「ぬ」が諸悪の根源であるという、厳然たる事実です。「め」を「ぬ」にしたとたんにひどいことになるのに、「ぬ」を「め」にしたら、逆にさわやかな風が吹くのです。お墓の前にはいないのです。風になるのです。

「排水溝、お掃除していないからぬめぬめだわ……」

「排水溝、お掃除していないからぬぬぬぬだわ……」ひどい。

「排水溝、お掃除していないからめめめめだわ……」さわやか。

風になって、どこかに飛んでいったほうが良いかもしれませんね。合掌。

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