ぐわぐわ団

読んで損する楽しいブログ

『もものかんづめ』を読みなおしました

何度も書いていますが、私が文章を書くにあたって心の師と仰いでいるのはドストエフスキーです。

「君の書く文章は1行目から破綻している。」

大学生の時に所属していた文芸サークルの先輩から言われた言葉です。二ヶ月に1回、部誌を発行するので、エッセイというか、短編小説というか、正しくは駄文を書いていたんです。だいたいの文章が1行目から破綻するんです。当時からちっとも進歩していないどころか、どんどん退化している気がします。なにがドストエフスキーだ、「老人と海」など一文字たりとも読んだことがない。

何度も書いているかどうかはわかりませんが、私が文章を書くにあたって心の師と仰いでいるのは中島らもです。これは本当。他には、大槻ケンヂ。江戸川乱歩。そして、なぜかこないだまで頭からすっぽり抜け落ちていたのが、さくらももこ。

osakanafurby.hatenablog.com

卓越したセンスでもって、めっちょこ楽しみにしている「毎日が告別式」で、「さくらももこ」のことが書かれてあって、そういやさくらももこのエッセイを始めて読んだ時は、ほんとうに死ぬかと思うぐらい面白かったのを思い出したのです。

なんだか、最近こんな文章を書いたなぁと思ったら、本当に書いてました。

www.gw2.biz

 

記憶障害でもあるのかと思うぐらいに同じことを書いています。ほんとにまるっこ同じことを書いていたので、お年寄りが同じことを何度も何度も話す心境が少しわかったような気がします。そのうち、このブログはずーっと同じことが毎日毎日更新されるかもしれませんが、そうなったらそうなったで、生暖かく見守ってください。「今日も同じことが書いてある、生きているようだ。」と、市役所の職員の方が生存確認の代わりにブログをチェックするようになるかもしれません。PV1は確定。

それはそうと、集英社文庫ナツイチ2016という企画のおかげでしょうか、さくらももこの一番最初のエッセイ集である「もものかんづめ」の単行本が本屋さんの目立つところに平積みされていたのです。本格的に金回りがよくなる前の、おもしろいころのエッセイです。ひさしぶりに読んでみようと思って、買ってしまいました。

水虫の話から始まり、健康食品売り場でバイトをしていた時の話、睡眠学習枕の第一声が父のとんでもない言葉だったりしたこととか、爺さんが大往生した時の姉に対する残酷な行動であるとか、乙女のバカ心という破壊力抜群の青春エッセイに、青山のカフェでこれまたとんでもない男に遭遇した話だとか、とにかく濃厚さが半端じゃない。どれだけ煮詰めたらこんな本になるのかと思うと、くらくらする。そして、どこか突っぱねたような文体。真似しようにも、こんなん無理。素晴らしすぎる珠玉の本。

珠玉の……と書いて、「珠玉の女」という頭に虫の湧いたようなドラマを思い出したんですが、この話を書き出すと、本気で終わらないので、この辺りに致しとう存じます。それより何より「もものかんづめ」はブログを書く人の教科書として、こんな文章を書いたら楽しんでもらえるという例として最適なんじゃなかろうかと思います。真似しようとしてもできないですけど。合掌。

 

もものかんづめ (集英社文庫)

もものかんづめ (集英社文庫)